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2021/05/14 10:02

4Q利益下振れでアリババ6%安、独禁法の罰金で上場来初の営業赤字 無料記事

 13日のNY株式市場では、中国電子商取引(Eコマース)大手のアリババ・グループ(阿里巴巴集団、@BABA/U)が前日比6.28%安の206.08ドルと急落し、(昨年6月以来)約1年ぶりの安値で取引を終えた。足元業績での各種コスト増や先行きの不透明感が警戒されている。
 この日発表された第4四半期(1〜3月)決算は、売上高が前年同期比63.93%増の1873億9500万人民元に膨らむ半面、純損益が54億7900万人民元の赤字に転落するという結果(前年同期は31億6200万人民元の赤字)。独占禁止法に絡む罰金(182億2800万人民元)を受けたことで、上場来初の営業赤字を計上している(罰金を除いた場合、調整後・営業利益は48%増の105億6500万人民元)。特殊要因を除く調整後・希薄化後EPS(非GAAP)は12%増の1.29人民元(調整後の希薄化後1ADS当たり利益は12%増の10.32人民元)。売上高が市場予想(約1803億9700万人民元)を上回る一方、同1ADS当たり利益は市場予想(約11.57人民元)を下回っている。
 会社側は2022年度の売上高を「9300億人民元超」と予想した。前年比の増収率が少なくとも3割(29.65%)に上るものの、コロナ禍に伴うデジタル化が追い風だった21年度(40.72%増収)から減速する。
 主力のコアコマース部門で好調が続くなど(同売上高は71.91%増の1613億6500万ドル)、全体として堅調な成長を遂げているものの、マージンの悪化はマイナス材料。コアコマース部門の調整後EBITDAマージンが19%(前年同期:30%)に低下した。スーパーマーケット(支配権を握ったサンアート)の統合コスト、地方都市消費者向けの投資(割引)、直営「新小売」事業の拡大――などが響いている。
 複数の米国メディアによると、中国政府によるIT業界への締め付けも引き続き懸念材料。独占禁止法に絡む調査は終わったものの、創業者の馬雲(ジャック・マー)氏との関係悪化をきっかけに始まった当局の「指導」がどこまで広がるかはなお不透明だ。メディア事業や金融事業に対する処遇、成長促進に寄与していた膨大なオンラインデータの収集を当局がどの程度管理するか――などが注目されているという。


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