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2021/05/21 14:35

1万ドル超の仮想通貨送金に報告義務、課税強化対策で=米財務省 無料記事

 米財務省は20日、税務コンプライアンスに関する報告書を発表し、課税強化対策の一環として「1万ドルを超える暗号資産(仮想通貨)を送金した場合、内国歳入庁(IRS)への報告が義務付ける」との方針を示した。仮想通貨市場への関与を強め、脱税などの手段として不正利用されることを防ぐ構え。報告書では「仮想通貨が脱税を含む広範な違法行為を助長するなど、すでに大きな検知問題を提起している」と言及したほか、「現時点ではビジネス収入の比較的小さな部分にすぎないが、仮想通貨取引は今後10年で重要性を増す可能性がある」と述べている。
 また、サイバー攻撃と仮想通貨の関係に関して、詳しく調査する方針も表明。仮想通貨で身代金を支払いを行った企業に対し、調査を行うことを検討していると明らかにした。身代金の支払いで使われる仮想通貨の実態を把握し、サイバー攻撃の抑止に役立てたい考え。複数の海外メディアによると、今回の発表で仮想通貨相場の上値が重くなっている(20日のビットコインの上昇幅が一時、10%から6%へ縮小)。
 財務省はまた、徴税人員体制の強化も表明。今後10年で800億ドルを投じ、IRS職員を8万6000人以上増やす計画も発表した。2019年度の職員数7万3554人からの倍増を目指す方針だ。
 今回発表した報告書は、バイデン政権が提案する経済政策「American Family Plan」の一部(2031年までに約800億ドルをIRSに投資すること)を詳述したもの。バイデン政権としては、課税強化を通じ、今後10年間でタックスギャップ(実際に納税すべき額と実際に納税された額の差分)を約10%減らしたい考えだ。7000億ドルの税収増に繋がると試算している(2019年のタックスギャップは5840億ドル)。その後の10年に関しても、財務省は「職員などが複雑な納税申告システムに詳しくなることで、最大1兆6000億ドルの税収増に繋がる」との見通しを示した。


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