詳細
検索 (期間指定)
期間

2022/05/19 10:17

小売銘柄の急落相次ぐ、インフレによるコスト増圧力を嫌気 無料記事

 18日のNY株式市場では、小売銘柄の急落が相次いだ。利益の大幅な下振れを明らかにしたディスカウントストアのターゲット・コーポレーション(@TGT/U)が前日比24.93%安と急落したほか、1ドル均一ショップのダラー・ツリー(@DLTR/U)が14.42%安、ダラー・ゼネラル(@DG/U)が11.11%安、会員制・倉庫型店舗販売のコストコ・ホールセール(@COST/U)が12.45%安、5ドル均一ショップのファイブ・ビロウ(@FIVE/U)が11.54%安、百貨店のメイシーズ(@M/U)が10.66%安、家電量販店のベスト・バイ(@BBY/U)が10.51%安と軒並み2ケタの下落を記録している。このほか、先月末に急落したEC大手のアマゾン・ドット・コム(@AMZN/U)や前日急落したウォルマート(@WMT/U)もそれぞれ7.16%、6.79%ずつ下落した。
 この2日間のウォルマート、ターゲットの決算で明らかになったのは、主要小売業者がインフレコストを最終消費者に転嫁することが難しい現状。収益性が落ち、一部商品在庫が急増し、値下げを増やしていることが示されている。また、現在のインフレやサプライチェーン問題がいつ終わるかも不透明だった。
 インフレによる家計への打撃が特に大きかったのは、労働者階級の消費者。ウォルマートによると、価格に敏感な一部の消費者が購入するものをブランド商品から安価なプライベート・ブランド(PB)商品に切り替え、ミルクの大きさを数ガロン→ハーフガロンに減らしていた。また、消費対象が物からサービスに移行した影響もあるもよう。ターゲットによると、消費者は家電製品やテレビなどの物理的商品からレストランのギフトカードなど「外出体験」に焦点を移し始めているという。消費者がすでにコロナ禍で電子機器、家庭用品、家具などの支出を前倒したことも影響している可能性がある。
 一方、ホームセンター大手のホーム・デポ(@HD/U)、ロウズ・カンパニーズ(@LOW/U)からは(一時的な可能性もあるものの)「顧客の消費動向は堅調」との見方が示された。ただ、顧客の多くが住宅所有者やプロの住宅建設業者であることが理由との指摘もあった。
 なお、この日の小売業者ではファッションディスカウンターのTJX カンパニー(@TJX/U)が唯一の逆行高(7.12%高)。第1四半期(2〜4月)決算で売上高が下振れたものの、利益が上振れたことが評価された。コロナ後に経済活動が再開されるなか、インフレ高進に伴って消費者がTJXなどで割引商品を探すと期待されたようだ。


内容についてのお問い合わせは<info@ashuir.com>まで。

関連ニュース同じカテゴリーのニュース