2022/03/11 10:12
米国の原油増産は難航か、長年の業況低迷で企業側は慎重スタンス
ロシアによるウクライナ侵攻を受けてバイデン政権がロシア産原油の禁輸を決定するなか、米国の石油開発業者に対して米政府側から国内増産の圧力がかかっているものの、その反応は鈍いようだ。過去10年間の業績低迷で石油開発業者の掘削スタンスが保守的に転じているためという。CNBCが10日付で伝えた。
その代表が石油・天然ガス開発のデボン・エナジー(@DVN/U)。2014〜2020年10月までに株価が約9割下落した後、探査を減らしてコスト削減を進め、21年の株価パフォーマンスでS&P500構成銘柄中トップを記録した企業だ。20年に約25億ドルの損失を計上したものの、21年に約28億ドルの利益を計上した結果、配当を45%引き上げ、自社株買いに約6億ドル(20年:約3800万ドル)を投じるなど株主還元を大幅に強化している。得たキャッシュフローの3分の1のみを掘削に再投資する一方、そのほかは負債の削減、増配、自社株買いに充てる戦略だ。
デボンのリック・マンクリーフ最高経営責任者は先週にCNBCの番組で「投資の決定を考える際、増産が1年先になることやインフレの圧力などを考慮する必要がある。そのため、ほとんどの上場企業は、これについて非常に思慮深く、慎重になる」とコメント。「何度も『騙し(head fakes)』を見てきた。商品価格に対する懸念があることを理解しているが、ある程度忍耐強く、(投資)規律を持ち続ける必要がある」と主張している。また、石油開発業者が仮に増産することを決めた場合でも、鋼管や水圧破砕用の砂などあらゆる資材のサプライチェーン問題、減産中に解雇された労働者が不足していることなど、多くの逆風がある点が指摘されている。
国際エネルギー機関(IEA)によると、ロシア産原油(1日当たり1000万バレル)の代替先を得るには時間と資金の2つが必要。米国はロシアから1日9万〜10万バレルの原油しか輸入していないが(米消費量は1日約1800万バレル)、1日約400万バレルを輸入してきた欧州にとって難題となっている(天然ガスの問題はさらに困難)。ゴールドマン・サックスによると、米国にとっての代替先候補としては◆石油輸出機構(OPEC)の増産、◆制裁対象産油国(イラン、ベネズエラ)の制裁解除――などがあるものの、どれも難航中だ。
内容についてのお問い合わせは<info@ashuir.com>まで。
その代表が石油・天然ガス開発のデボン・エナジー(@DVN/U)。2014〜2020年10月までに株価が約9割下落した後、探査を減らしてコスト削減を進め、21年の株価パフォーマンスでS&P500構成銘柄中トップを記録した企業だ。20年に約25億ドルの損失を計上したものの、21年に約28億ドルの利益を計上した結果、配当を45%引き上げ、自社株買いに約6億ドル(20年:約3800万ドル)を投じるなど株主還元を大幅に強化している。得たキャッシュフローの3分の1のみを掘削に再投資する一方、そのほかは負債の削減、増配、自社株買いに充てる戦略だ。
デボンのリック・マンクリーフ最高経営責任者は先週にCNBCの番組で「投資の決定を考える際、増産が1年先になることやインフレの圧力などを考慮する必要がある。そのため、ほとんどの上場企業は、これについて非常に思慮深く、慎重になる」とコメント。「何度も『騙し(head fakes)』を見てきた。商品価格に対する懸念があることを理解しているが、ある程度忍耐強く、(投資)規律を持ち続ける必要がある」と主張している。また、石油開発業者が仮に増産することを決めた場合でも、鋼管や水圧破砕用の砂などあらゆる資材のサプライチェーン問題、減産中に解雇された労働者が不足していることなど、多くの逆風がある点が指摘されている。
国際エネルギー機関(IEA)によると、ロシア産原油(1日当たり1000万バレル)の代替先を得るには時間と資金の2つが必要。米国はロシアから1日9万〜10万バレルの原油しか輸入していないが(米消費量は1日約1800万バレル)、1日約400万バレルを輸入してきた欧州にとって難題となっている(天然ガスの問題はさらに困難)。ゴールドマン・サックスによると、米国にとっての代替先候補としては◆石油輸出機構(OPEC)の増産、◆制裁対象産油国(イラン、ベネズエラ)の制裁解除――などがあるものの、どれも難航中だ。
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