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2022/02/28 10:54

米経済成長に対するウクライナ情勢の影響は限定的か 無料記事

 ロシアによるウクライナ侵攻が米経済動向に与える影響について、主要ブローカーの間では「限定的」との見解が多数派のようだ。25日付CNBCが各ブローカーの見解を引用して伝えたもの。インフレの加速につながり、昨年からのサプライチェーン問題が継続・激化する可能性があるものの、米景気後退につながる可能性は低いという。
 例えばウェルズ・ファーゴは最新リポートで、「ロシア・ウクライナ紛争が物価をさらに上昇させ、米経済成長を鈍化させるものの、不況に追い込むには至らない」と分析。「ガソリン価格の高騰が消費マインドに悪影響を与えるものの、支出を止めるまでには至らず、オミクロン株による落ち込みから回復するペースの逆風になる程度にとどまる」と予想した。他のブローカーも概ね同様の見方を示している。
 ロシアとウクライナはともに大きな経済体でない。農産物が豊富でロシアの軍事力が目立っているものの、ロシアのGDPはNY州よりやや小さく、ウクライナのGDPはネブラスカ州と同程度という。紛争の主な影響は、石油・ガス価格の上昇になる見通しだ。
 インフレの状況が続くなか、米金融当局による利上げ期待は継続中。米連邦準備理事会(FRB)が3月に利上げし、来年まで継続するとの基本路線は変わっていないとされる。例えばゴールドマン・サックスは、ロシア・ウクライナ紛争がFRBの利上げをとん挫させるまでに至らないとの立場。金融引き締めの影響を予想することが難しいと前置きした上で、「地政学リスクイベント後に米国で大きく金融引き締めが行われることは過去にめったにないが、現在の状況(インフレ状況)は一般的ではない。大幅な引き締めや企業が直面する不確実性の増大は、米経済成長をさらに圧迫するだろう」と述べ、成長への悪影響がやや大きくなる可能性を警戒した。


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