IT大手のアマゾン・ドット・コム(@AMZN/U)は21日、プライマリケアサービス「ワン・メディカル」を運営する1ライフ・ヘルスケア(@ONEM/U)を約39億ドルで買収すると発表した。1株当たり現金18ドル（20日終値10.18ドルを約77％上回る水準）で買い取る。ワン・メディカルの株主や規制当局などの承認を得た後、手続きを終える予定だ。
　2020年2月に上場したワン・メディカルは、プライマリケアの診療所ネットワークを運営し、様々なデジタルサービスを擁している。17年に同社の最高経営責任者(CEO)となったアミール・ダン・ルービン氏（元ユナイテッド・ヘルスの上級幹部）は今回の被買収に関し「患者、医療提供者、支払い側にとって、医療体験を利用しやすく、お手頃価格で、さらに楽しいものにする絶好のチャンスだ」とコメントした。
　アマゾン・ヘルス・サービスのニール・リンゼイ上級副社長は「ヘルスケアが再発明を必要とする体験リストの上位にある」と述べ、診察を受けるまでにかかる余分な時間を減らすことに意欲を示した。「我々は簡単にすべきものをより簡単にする発明が大好きだ。今後数年で医療体験を劇的に改善する企業の1社になりたいと思う」と述べている。
　EC最大手のアマゾンはこのところ、M&Aを通じ、EC隣接市場分野での成長を模索中。17年に自然食品スーパー大手のホール フーズ・マーケット（137億ドル）、21年に映画製作会社のMGM（84億5000万ドル）を相次ぎ傘下に収め、そして今回、ワン・メディカルの買収に踏み切った。ヘルスケア分野では、2018年にピルパックを7億5000万ドルで買い取った後、独自のオンライン薬局を展開しているほか、19年頃から自社従業員向けに遠隔医療サービス「アマゾン・ケア」を始めている（今年2月に外部へ開放）。
　21日のNY株式市場では、アマゾンが前日比1.52％高の124.63ドル、1ライフ・ヘルスケアが69.45％高の17.25ドルで取引を終えた。


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