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2020/01/22 12:44

新型肺炎の感染拡大に警戒感、米国でも初の感染例 無料記事

 3連休明け21日のNY株式市場では、中国武漢市で発生した新型コロナウイルスによる肺炎が中国各地、海外の一部に広がっていることが懸念された。大流行を懸念する見方は現時点で多くないが、(中国春節連休の直前ということもあり)旅行や買い物など外出を控える動きが世界の消費・景気に打撃を与えることが警戒されている。
 米疾病対策センター(CDC)はこの日、同ウイルスの最初の症例を米国西海岸ワシントン州で確認したと発表した。今月15日に中国から帰国した30代男性が先週、肺炎のような症状があったため、地元の保健当局に連絡していたという。現在は念のため、州の医療センターに隔離しているものの、同患者が「非常に健康」であり、米国民にとっての拡散リスクはほとんどないと説明している。
 有力メディアのCNBCによると、中国で昨年12月に新型コロナウイルスが特定されて以来、感染者の数は増加傾向にある。中国当局の発表では感染者が300人を超え、うち139人がこの1週間で確認された(なお、18日付の英フィナンシャルタイムズが引用したMRCグローバル感染症分析センターの調査によると、感染者はすでに1700人を超えたという)。地域別では、湖北省武漢市の感染者が特に多いほか、北京市、上海市、天津市、浙江省、河南省などでも感染の報告が上がっている。中国のほか、タイ、韓国、日本、台湾でも症例が確認された。感染源ははっきりしていないが、中国当局側は「患者の多くが海鮮市場に行っていた」と発表するなど、動物からヒトに感染した疑いを示唆した。また、密接に接触した場合はヒトヒト感染する可能性にも言及している。
 今回のコロナウイルスの影響を巡っては、2002〜03年に世界で流行した中国発のSARS(重症急性呼吸器症候群)ほどではないとの見方が優勢。経済調査コンサルタントの英キャピタル・エコノミクスのシニアエコノミスト、Gareth Leather氏は「断言するにはまだ早いものの、(致死率が10%近い)SARSほど致命的ではないようだ」と述べたうえで、「現時点では今年の経済見通しを変更しないが、ウイルスの拡散は明らかな下振れリスクであるため、引き続き状況を注視していく」と補足した。また、「流行した場合、悪影響を受けるのは、(発生国の)中国に加え、中国の観光客支出に依存している国。香港やタイ、ベトナムなどだ」と予想している。中国当局の対応については、「当初は後手に回っていたが、ここ数日間でウイルス関連の情報によりオープンになり、封じ込めようとする動きが目立つようになった。SARSの拡散を隠そうとして厳しく批判された03年とは対照的だ」と評価した。


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