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2022/08/30 09:40

スリーエムが2%安、問題子会社の「破産戦術」失敗で続落 無料記事

 週明け29日のNY株式市場では、工業用素材・事務用品大手のスリーエム(@MMM/U)が前営業日比2.09%安の126.44ドルと続落して取引を終えた。問題子会社の「破産戦術」が失敗したことを受け、先週末26日に急落(9.54%安)した流れを継いでいる。
 欠陥のある耳栓を米軍に販売したとして、大量の訴訟に直面しかねないことが懸念材料。米現地メディアによると、傘下子会社(Aearo Technologies)が2008〜15年に製造・販売していた軍用耳栓「CAE v2(Combat Arms Earplug Version 2)」について多数の退役軍人から「耳栓に欠陥があり、聴覚障害を引き起こした」とスリーエムが訴えられている件を踏まえ、同子会社が自主的な破産を申請していたことに関し、米国のインディアナ州南部地区連邦破産裁判所は26日、「子会社の破産は、破産していない親会社に対する訴訟を止めることはできない」との裁定を下した。同訴訟に対する仮差止命令を求める要請を却下している。スリーエム側は同裁定を上訴し、「今後数年間で耳栓の案件を1件ずつ訴訟を続けることはだれの利益にもならない」と主張した。
 同裁判は、米国で過去最大の集団不法行為訴訟になりつつあるもよう。スリーエム側は全国で大量の裁判を戦うのでなく、子会社の破産手続きを利用し、有害とされる製品の被害者との和解交渉を1カ所でまとめることを目指していた。
 モルガン・スタンレーは最新リポートで、「この裁定は、スリーエムにとってより長く、より高額な費用につながる」と結論付けた(スリーエムに対しては「アンダーパフォーム」の投資判断と131ドルの目標株価を付与中)。「自社のフレームワークによると、総額で140億ドルかそれ以上の支出につながる可能性がある」と警鐘を鳴らしている。また、ウルフリサーチも最新リポートで、「次に待っているのは、約1200件の訴訟の波だ。ニュースヘッドラインのリスクだけでも大きい上、訴訟費用が1週間当たり約400万ドルかかる」との見解を示した。


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