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2019/09/30 09:25

◇週間相場見通し:弱含みか 無料記事


今週のNY株式市場は、内外環境の不透明感で上値の重い展開か。

内部的には、米政局の混迷化がネガティブだ。「トランプ大統領が政敵のバイデン前副大統領に関する情報を得るため、ウクライナの大統領に圧力をかけた」との報じられる中、米下院の情報特別委員会は26日、連邦政府職員による内部告発文書を公表。告発文では「トランプ氏が2020年の選挙で再選するため、大統領権限を乱用してウクライナを利用しようとした」と指摘している。これを受けて民主党のペロシ議員は、トランプ大統領の弾劾訴追に向けた調査を始めた。弾劾が実現される可能性は低いが、マーケットへの心理的影響は避けがたい。

また、米中対立の激化懸念も再燃。ブルームバーグが27日、米国政府が新たに、〇米株マーケットに上場する中国企業の上場を廃止すること、〇米政府年金基金による中国市場への投資を制限すること、〇米企業が算出する株価指数に中国企業を組み入れない(抑制する)こと――などの資本制限措置を検討していると伝えた。これを受けて、27日の米株市場は中国系ADRが軒並み急落。その影響により、主要3指数も軒並み値を下げている。

これに関して、米財務省のクローリー報道官は28日、「中国企業の上場を阻止する計画は今のところない」と明言したが、市場の懸念は完全に払しょくされていない。そもそも中国系ADRが米上場時に多用するVIE方式(企業そのものではなく、権利関係を継承した特別目的会社を上場させる方式)に対しては、米当局の調査が十分できないとの批判があるためだ。アリババが香港上場を急ぐのも、こうした背景によるものといえる。

外部的には、香港情勢の短期動向が気がかり。中国の国慶節(本土市場は10月1日から7日まで休場)で予定される大規模な軍事パレードにあわせて、香港の民主化デモが実施される可能性が高いため、ここで武力衝突などが発生した場合は世界的にリスクオフの流れをもたらすこととなろう。

あえてポジティブな材料を挙げるとすれば、米国の景気見通しが悪くないことがある。特に、目先の消費動向は堅調。年末商戦に関する一部調査によると、今年の1世帯当たり消費額は前年比5%増の862米ドルに伸びる見通しだ。また、今週発表される米主要経済指標についてもポジティブな予想が多い。9月のISM製造業景況指数が(前回の節目を割り込んだ49.1から)50台に回復するとみられるほか、9月の雇用統計で非農業部門の雇用者数が(前月の13万人増から)14.5万人増に拡大すると見込まれている。



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