2019/09/16 09:23
週間相場見通し:不安定な値動きか、中東の地政学リスクが再浮上
今週のNY株式市場は、外部環境の悪化で上値の重い展開か。サウジアラビアで14日、テロ攻撃による大規模な原油プラント火災が発生するなか、同国の原油生産量が半減する見通しになったことが逆風だ。これによりリスクオフの動きが強まり、世界的な株安に見舞われる可能性が出てきた。
一方で、米国国内の環境は悪くない。中でも、懸案の米中貿易摩擦について、このところ楽観的な見方が浮上しはじめた点はプラス。中国が米国製品の一部に対する関税率の引き上げ免除を決定したほか、米国側も対中関税の引き上げを10月1日から15日に延長すると発表した。米国側が「中国の国慶節(10/1)に敬意を表した」と説明したことを受けて、中国側は歓迎の意を表明。中国側は更に大豆やコーンなど米国産農産品の輸入再開と追加関税免除を明らかにし、また米国側も中国と暫定合意案の交渉を進める方針――と伝えられている。したがって、国慶節(10月1日)までの9月中は、米中関係が大きく悪化することはないとの見方が有力だ。
世界的な金融緩和の流れも追い風。来週(日本時間18 19日)の米連邦公開市場委員会(FOMC)で利下げが確実視されているほか、欧州中央銀行(ECB)も先週12日、利下げや量的緩和の再開などを発表した。短期的な米景気動向が悪くないため(8月の小売売上高が上振れたほか、9月のミシガン大学消費マインド指数・速報値も持ち直す)、米国のFRBの中では追加利下げ継続に反対するメンバーもいるが、中長期的な景気の先行き不透明を理由に慎重な姿勢を堅持する方針は変わらないとみられる。
いずれにせよ、中東情勢の緊迫化により目先は積極的に手掛けにくい状況。特に、為替や原油相場の動きには注意を要する。
内容についてのお問い合わせは<info@ashuir.com>まで。