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2020/08/31 09:20

◇週間相場見通し:底堅い展開か 無料記事

 今週のNY株式市場は、金融緩和の長期化観測を背景に引き続き堅調な展開が続きそうだ。注目されたジャクソンホール会議でのパウエルFRB議長の講演は、ハト派的色彩が一層強まる内容。従来の物価目標2%を期間平均目標2%とし、一時的に2%を上回ってもすぐに利上げをしない方針を打ち出したのだ。FRBの目標である雇用の最大化を強く意識しているもので、金融緩和の長期化観測と緩やかな景気回復という、株式市場にとっては居心地の良い状況が期待されている。
 もっとも、これにより一本調子の株価上昇が続くとは考えにくい。パウエル講演では、インフレ目標達成のための具体的政策内容が明らかにされなかったためだ。したがって、9月のFOMCに向けてFRB高官発言が引き続き注目されることになる。また、来週発表される8月のADP雇用統計や雇用統計も気になるところだ。週間の失業保険申請件数が依然として高止まりを続けるなか、市場は「労働市場の実態を見極めたい」の慎重姿勢に傾きやすくなろう。
 期待の追加経済対策については、来週9月7日のレーバーデー以降に決まるとの見方が有力だが、その規模が1兆〜3兆ドルと予想幅が大きいため、結果によっては買い材料にならない可能性もある。また、バイデン候補が大統領選挙で優勢と伝えられている点にも要注意。大企業向け増税に積極的なため、当選観測が強まった場合は悪材料視されることもあろう。
 外部の不安要因としては、やはり米中対立の激化が挙げられる。南シナ海を巡る両者の確執は、一歩間違えれば軍事衝突の危険もはらむ。双方ともに望んではいないとはいえ、エスカレートすればマーケットへの心理的悪影響が生じる恐れもある。
 また、米中対立の新たな動きとして、中国商務部が先週末、ハイテク技術の海外移転規制強化策を発表したこともマーケットのマイナス要因。ティックトックの米事業売却に干渉する意向とみられ、事業買収を囃して買われたマイクロソフトやオラクルなどにとっては逆風となりそうだ。


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