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2022/08/29 10:07

インフレ抑制の取り組みで「いくらかの痛み」も=パウエルFRB議長 無料記事

 米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は26日、ワイオミング州ジャクソンホールで行われた年次経済政策シンポジウムで演説を行い、インフレを食い止める断固たる姿勢を強調した上で、インフレ抑制の取り組みが「家計や企業にもいくらかの苦痛(some pain)をもたらすだろう」との見通しを示した。「価格の安定性を取り戻すには時間がかかり、需給バランスを改善するためにツールを力強く使う(using our tools forcefully)必要がある」と断言している。
 この演説は約8分と異常に短かった。パウエル議長は冒頭で「私の発言はより短く、焦点を狭くし、メッセージはより直接的なものになる」と発言。タカ派トーンを強めるために、短くしたことを示唆した。
 足元のインフレ鈍化の動き(7月PCEなど)については、「7月インフレ指標の低下は歓迎すべきことだが、1カ月の改善は、FRBがインフレ低下を確信する前に確認する必要があるものにはほど遠い」とコメント。「価格の安定性を取り戻すには、抑制的な政策スタンスをしばらく(for some time)維持する必要がある。過去のデータは、時期尚早に政策を緩和することに対して強く警告している」と早期の利下げ転換に警鐘を鳴らし、政策金利を高止まりさせることを示唆した。ただ、その具体的な期間や維持する金利水準は言及していない。9月会合での利上げ幅(0.50%か0.75%)に関しては、今後のデータや見通しに左右されると説明し、政策スタンスがさらに引き締まるにつれ、利上げペースを緩めるとの見解は維持している。
 パウエル議長はまた、今回のインフレ抑制の取り組みが約40年前のインフレ高進時の「教訓」に基づいていると説明した。◆中央銀行にインフレ管理の責任があること、◆国民のインフレ期待(の管理)が重要であること、◆仕事が終わるまでそれを維持しなければならないこと――の3点を列挙。1970年代にFRBが力強い行動を取らなかったため、高いインフレ期待が持続し、1980年代初頭のボルカーFRB議長による非常に厳しい引き締め策につながったことを踏まえ、今回のインフレ抑制で強力かつ迅速な取り組みを続ける構えを示している。


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